校章
足利大学工学部創生工学科
システム情報分野 AIコース
宮田研究室

研究テーマⅠ:画像処理や信号処理を活用した有機半導体放射線検出器の開発

 半導体放射線検出器は、優れたエネルギー分解能と速い応答性を有する検出器であり、特にシリコン結晶を用いた無機半導体検出器は、素粒子・原子核・宇宙線などの物理学実験分野のみならず医療・環境・産業分野においても必要不可欠な検出器の一つである。精密測定が進む素粒子実験の分野では、近年、実験装置の大規模なアップグレードが活発化している。例えば、CERNの加速器は高輝度化し、広い質量領域での新粒子の探索およびヒッグス粒子などの精密測定が可能になると期待されている。CMS実験の高粒度カロリメータ(HGCAL)は、多数のシリコン半導体センサが用いられているが、大型化に伴う製造コストの増大と数百万のセンサ回路の複雑性が極めて大きな課題となっている。
 課題の解決策として、低コスト・大面積・形状フレキシブルな有機半導体の特性に着目した。有機半導体は、有機薄膜太陽電池や有機ELなど多分野で応用研究が盛んに行われており、これらを放射線計測技術へ応用するという着想に至った。 空気中でも安定で放射線粒子1個をリアルタイム検出が可能な、速い応答性を有する有機半導体センサを開発し、α線・β線・γ線・宇宙線μ粒子の検出に成功している。
 宮田研究室には、有機半導体放射線センサを作製するための材料混合装置や真空加熱装置、抵抗・キャパシタンスなどの特性評価用のLCRメータ、センサの性能評価のためのラジオアイソトープ(RI)線源やVMEのオンラインデータ収集システム、解析に用いるモンテカルロシミュレーション(Geant4)など研究を遂行できる環境が整っている。

研究テーマⅡ:機械学習を用いた河川の異常検出に関する研究

 近年、異常気象により河川災害が激甚化しており、水位を含む河川の監視体制の強化が急務となっている。しかし、水位計は設置コストが高く、十数km間隔とまばらである。一方、Webカメラは比較的安価に設置でき、危険を伴う増水時でも安全に河川状況を把握できる。 Webカメラ画像を用いて水位を推定できれば、低コストかつ安全な河川監視が可能となる。本研究では、渡良瀬川の画像と水位データを用いて機械学習を行い、水位の異常検出をしている。