2011年度の工作例
2011年度は集光型3台、箱型3台、パネル型5台を作りました。パネル型は一人1台作ってくれた班もあり、結果的に台数は11台にもなりました。天気はまずまずでしたが、風が強く外気温が低かったため、鍋がむき出しの集光型には不利な結果となりました。それぞれについて解析結果をまじえて説明しましょう。
本学開発のEducooker002に似ていますが、良く見ると中心部分に簡易集光型のEducooker004が組み合わせてあります。でもこの鍋の大きさだと中心部分の効果より、周囲のパネル型の効果の方が大きいかもしれません。もちろん調理はできました。
基本的には多角錐形状なのですが、レーザーのマトリックスを使用した太陽光シミュレーション装置で光の集まる位置を探り、鍋置きを使って少し鍋の位置を上げているのが効果的だったようです。
こちらもいろいろ苦労して形を決めたのですが、結果としてはEducooker002にとても近い形になりました。やはり、鍋の位置を上げているのですが、これは熱伝導による損失と集光の両面の効果があるようです。
こちらはとても簡単なパネル型です。2枚の板状の鏡を45度以下の角度でV字に組み合わせると、正面から入ってきた光は何度反射を繰返しても外には出られなくなります。これを利用した形状ですが、数値シミュレーションの通り、冬に特化した形状と言えます。
面白い形で、集光型に近い反射板を持っています。6角錐台ですが、一応たためるようです。性能は悪くないと思いますが、これをパネル型というのはちょっと無理があるかなあ。
この集光型ソーラークッカーは大変子供らしくかわいらしいデザインですが、もちろん作った本人たちも周囲の花形が集光に寄与していないことは分かっています。それでもデザインが魅力的である必要があると思ってこの形に作りました。ただし、それが仇となり、風の影響で紙製の集光板の形状が定まりませんでした。うまく集光すれば、調理能力は十分あったはずです。
こちらは本人たちの意図にそぐわず結果的にほぼ半球形となってしまいました。このような形状の場合、半径の半分の中心部分で受けた光しか鍋にはあてられません。ただし、それも正しい位置に鍋を配置したときです。このクッカーではもともとの大きさが小さい上、鍋の位置が悪く、調理能力はあまり得られませんでした。うまく作るとロバスト性の高い、面白いクッカーができます。(本学の半球型ソーラークッカーのページも見てください。
こちらも簡易集光型ソーラークッカーEducooker004の拡大版です。結局温度が一番上がったのは、集光型ではこのクッカーだけでしたが、食べられるまでの調理はできませんでした。
こちらの箱型は順当な作り方ですが、ヘルパーの学生のアドバイスで庫内を浅く作っています。その結果温度はかなり上がりました。
この箱型は冬の光を少しでも庫内に入れようとして全面を透明にしました。とても面白いアイデアだと思います。実は同じようなアイデアで卒研で箱型を作っている学生がおり、さらにもう一工夫加えると冬の調理能力がグッと上がることが分かっています。この状態だと箱型の特徴である断熱性が少し落ちてしまい、光を増強した効果と打ち消しあってしまいます。でももちろん、調理はできましたよ。
この箱型は作っている最中は(生徒さんには悪いのですが)あまり性能に期待していませんでした。箱型を拡大してもその倍率に見合った加熱力の増強は見られないのが普通だからです。この箱型は横に倍の幅に拡張したのですが、温めなくてはならない容積は倍以上に増え、加熱力の点からは不利になると考えていました。ところが断熱を十分に行ったこと、内部に反射鏡を設けたことなどが功を奏して十分な加熱力が得られました。箱型としては反則かもしれませんが・・・はいはい、分かりましたよ、脱帽です。
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