南相馬市地域循環のしくみづくり勉強会

 

 24年度は,原発の被害の続く南相馬市にまた,お邪魔し,再生エネルギーを中心とした地域循環の勉強会に参加させていただきました.福島大の山川先生が座長を務める小さな勉強会でしたが,各方面の方々と有意義な議論ができたと思います.

 思うことはただ一つ,雇用の確保です.大きな施設を作って発電しても地元に雇用が生まれないようなものでは意味がないと思います.震災の夏,家族で福島県に旅行しました.野岩線に乗ってみたいという好奇心ととにかく他県でなく福島でお金を使おうという動機でした.その旅先の郡山で乗ったタクシーの運転手さんが語った話です.

「お米を東京の親戚に送ったら,福島産は送らないでくれといわれた・・・・猪苗代湖で発電してその電気も東京に送っている.原発の電気も東京へ送り続けて,その結果,こんな思いをしないといけないのか・・・・・・福島で作った電気は東京に送ってやらねえぞと云いたかった」

 わが家族,声もありませんでした.どれほど悔しい,切ない思いで一杯だったか,ただ,黙っているしかありませんでした.その記憶が甦って来ました.

インフラ投資をしても地元に雇用が生まれないような仕組みでは意味がない.大きな施設ではなく,維持管理のための雇用が生まれる小さな施設をたくさん作った方がいいに違いない.ただ,残念ながら,再生エネルギーは私の専門ではありません.社会システム論としてどれほどのお役に立てたか自分でも疑問ですが,2012年の夏の家族旅行は,常磐ハワイアンランドにしました.

 

余談

一ついいことがありました.思い返せば,2011.3.103.11は土木学会関東支部の技術研究発表会でした.石巻工業高校出身の只野くんが卒論発表した翌日が震004災でした.発災日から暫く実家と連絡が取れず,準備をして現地に行こうとした矢先に「ようやく連絡がとれました,両親は無事です」と報告がありました.その彼が,20125月に結婚式を挙げたのです.同期の悪ガキ共(失礼!)も集まってお祝いしました.先生としては,技術者倫理の授業でテーブルマナーも教えておくべきだったと反省しつつ,挨拶は勤め先の上司に「もっと勉強させるべきだった,申し訳ない」とお詫びをしたのです.「先生!酷いッすよ・・・・」とブツクサいっていましたが,こいつらにもっと勉強させるが私のつとめだと堅く誓ったのでした.

 

 

 

全日本土地区画整理士会報2012.09論壇PDF

 

東日本大震災復興について(2012