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熱工学研究室
Thermal Engineering Laboratory
松下研究室
足利大学 工学部 創生工学科 機械分野
水素エネルギー社会実現、航空エンジンの環境負荷軽減に向けて!

タービン冷却

航空用エンジンやコンバインドサイクルなどのガスタービンにおいて、環境問題への配慮から、高効率化、高性能化が強く求められている。そのために最も有効な手段は、タービン入口温度の高温化であり、現在では1800℃以上のタービン入口温度も想定されている。 この高温化は、主として、材料の耐熱温度の向上と、冷却技術の進歩に支えられているが、新材料でも耐熱温度は1100℃程度であり、さらなる冷却技術の向上が求められている。 これまでもタービン入口温度の上昇に伴い、様々な冷却技術が開発されてきた。 (参考文献:「特集:歴史にみるガスタービンの発達プロセス「タービン」(伝熱を中心に)」、吉田豊明、日本ガスタービン学会誌, Vol.36 No.2, 2008, pp.78-83)

タービン入り口温度の変遷

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タービン冷却技術の比較

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フィルム冷却

翼面の冷却孔から高温主流中へ冷却空気を吹き出し、高温ガスと翼面の間に冷却空気の膜を形成する。
フィルム冷却要素試験結果(平成30年度)

インピンジメント冷却

噴流を噴射孔から壁面に垂直に衝突させる。壁面に平行な流れより、噴流衝突の方が熱伝達率が高くなる。多数の噴流を利用する場合、噴射孔を碁盤目状(Inline)や千鳥格子状(Staggerd)に配置する。複数の衝突噴流では、噴射した流体が別の噴流に対して直角な流れ(クロスフロー)として熱伝達に影響を及ぼす。
インピンジメント冷却要素試験結果(平成30年度)

ピンフィン冷却

平滑流路の壁面に垂直にピンフィンを配置する。伝熱面積の拡大効果と、流れ場を乱すことによる乱流促進効果によって伝熱促進を行う。また、ピンは構造強度保持の役割も果たす。
ピンフィン冷却要素試験結果(平成30年度)

サーペンタイン冷却

翼内部に往復の蛇行流路をとり、冷却流路を長くすることにより、少ない冷却空気で冷却を行う。流路には乱流促進リブを配置することで、伝熱を促進する。

複合冷却

フィルム冷却、インピンジメント冷却、ピンフィン冷却を組み合わせ、複合化冷却構造を形成し、冷却性能の大幅な向上を目指す。

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トランスピレーション冷却

高温気流にさらされる物体の有効な冷却方法として古くから考えられている。 多孔質材料の内部の複雑で微細な流路を冷媒が冷却しながら通過し、その表面の無数の孔からしみ出す冷却方法。その高い冷却性能にもかかわらず、タービン冷却として実用化に至っていない。