■研究テーマの「構造物と地盤との相互作用」について、簡単に説明してください
「私の専門は建築基礎構造で、主に杭の耐震性と擁壁(宅地造成する際に土留めをする構造物)の問題について研究しています。阪神大震災で明らかになったように、外見では地震の衝撃に耐えたと見える建物も、杭は破壊されている場合があります。また、軟弱な地盤地帯における、新しい技術体系の確立が急がれています。
私の研究室もその一端を担うべく、国土交通省建築研究所や他大学との共同研究を進めながら、学生一人ひとり問題意識をもって研究課題に取り組んでいけるように努めています。学生の努力が、社会に役立つ良い機会だと思っています。」
■「足利のまちづくり」に対してさまざまな提案をされていますが、きっかけについてお話しください
「私は、足利生まれで、柳原小、一中、足高に進み、東京の私立大学に入学しました。卒業して、東京の設計事務所に勤めた後、30年前足利工業大学に奉職しました。この30年間、足利に住んでいて、年々足利に活気がなくなっているような気がしてなりません。
そんな折、ばん阿寺東地区の区画整理を見て、足利には、歴史と文化、それに豊かな自然があるにもかかわらず、それらを生かしたまちづくりが行われていないのではないか、と考えるようになりました。それがきっかけとなって、私も一市民として学生と一緒になって足利市活性化に向けてさまざまなまちづくりの提案をはじめたわけです。専門分野の研究もあり、なかなか大変ですが、足利を本当に愛していますし、もともと建築が好きですから、楽しくやっています。」
■日々、学生とどのように接していますか
「大学の教員は、学生あっての教員だと思います。研究で社会に貢献するのは当然ですが、それ以上に大切なのは、一人ひとりの学生とどう向き合うか、彼らの個性や能力を伸ばすため、どれだけ自分が助力できるかが、問われていると思っております。私の専門分野にとどまらず多方面の分野へ、優秀で人間性豊かな技術者を、一人でも多く送り出すことが私の願いです。」
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