ビオトープに関心を持つ |
小学校のビオトープで子供たちが生き物との触れ合いの場を広げている、休耕田にビオトープを造りメダカの里にした、ビオトープの池を取り入れた住宅が建設された、企業、自治体がビオトープに強い関心を持っているとか、新聞にしばしばビオトープのことが掲載されています。
ビオトープ(Biotop)は、もともとギリシャ語で、「bio=生き物+top=住むところ」という意味のドイツの造語だそうです。生態系を考慮して造られた学校の庭や沼地、自然の生態系を大切にする自宅の庭やクラインガルテン(日本語では市民農園)はもちろんのこと、エコロジカルな農業地や、ビルの屋上であっても生き物が集まれるように工夫したものもビオトープと言っても構わないようです。したがってビオトープの範囲は極めて広いことになります。 このようなビオトープに前々から興味を持っておりました。私が自宅のフェンス際にウマノスズクサを植えて、ジャコウアゲハの繁殖地にしようというのも、ビオトープの一つということになるのでしょう。 私は地元の大学で非常勤講師として教えたり、卒業研究生を指導しながら企業との共同研究をやったり、コーディネータとして企業に出向いたりしております。この四月から常勤の先生が増えて、実験室のスペースが足りなくなり、私が使わせていただいていた実験装置を別の場所へ移さねばならなくなりました。幸い昨年移転した総合研究センター内に場所を確保することができましたので、5月末には実験装置の移動を完了しました。 この総合研究センターの近くに大学のビオトープがあります。近くに移ってきたことから、気になってビオトープへ何回か足を運びました。ビオトープは「風と光の広場」の中央部にあり、造られてから今年は3年目となります。円形と四角の池は、コンクリート造りで地面より高く、もう一つの瓢箪池は地面を掘って造られ、水生植物が植えられており、三つの池の水が順番に流れるように繋がっております。円形と四角の池は都市環境工学科の先生が継続的に水質の調査をしておられ、これには手を触れないで欲しいとのことですが、瓢箪池については現在研究対象になっておらず、面倒を見ている先生はいないことが判明しました。 瓢箪池が造られた当初の目的はそれなりにあったと思いますが、担当された先生が他大学へ移られたこともあり、放置されているという状態のようです。ビオトープという自然性の高い空間を造るので、維持管理の手間をあまり必要としないと考えている可能性もあります。しかし、ビオトープといえども、当初植え付けた水生植物などを維持するとなると、侵入してくる帰化植物などの雑草を防除する作業が継続的に必要になると思われます。ビオトープ発祥の地のドイツと違い、日本はお米のできる亜熱帯に近い気候で、植物の種類も多く、成長も早いのです。 そのようなことから、大学関係者の了解を得て、6月末から大学の瓢箪池のビオトープについて私が積極的に関わって行くことにしました。 瓢箪池は長さ約20メートル、大きい池の幅が約10メートル、小さい池が幅約5メートル、くびれたところが幅2.5メートル位で繋がっています。この広さの瓢箪池を私一人で管理できるものではありません。まず、植物や昆虫に詳しい数人の友人に見てもらい、意見をお聞きしました。足利シルバー人材センターから風と光の広場のミニミニ博物館へ交代で派遣されている三人の方々も興味を示され、帰化植物などの雑草の防除や増え過ぎた水生植物の間引きなどを担当していただけることになりました。 まず当面は現状の状態を把握することです。現状の写真を撮ったり、最初からあった植物が3年目の現在どうなっているか、侵入してきた帰化植物は何か、トンボなどの昆虫の生息状況はどうなっているか等の調査から始めました。 植物やトンボの標本を作ろうとすれば、捕虫網や展翅板、標本箱、台紙なども必要になります。昔私が使っていたものを大学へ移し、足りないものは注文しました。このようにして大学のビオトープの管理に携わることがスタートしました。このビオトープをどのようなビオトープにするかは今後の課題ですが、試行錯誤しながらやっているうちに、何かが見えてくるのではないかと思います。新たな挑戦の始まりです。 |