総合研究センター

 「風と光の広場」


日時計と水時計
                   建築学科 沖 允人 研究室
日時計について
 日時計は人類が手にした最古の科学装置である。太陽の運行が示す時間の流れを読みとる太陽の時計=日時計の歴史は、少なくとも紀元前15 0 0年までさかのぼることができ、そして精巧な機械時計が出現す十七世紀まで、それは精度のもっともよい時間の計測手段であった。(中略)
 日時計は春・秋分や夏・冬至を知る時計、すなわちカレンダーとしての機能をあわせもっていた。しかも土地の緯度や黄道傾斜角の決定、あるいは地球の大きさの推定にまで利用されることもあった。天文学は数学と並ぶ古代の精密科学であったが、日時計はこの精密科学に不可欠のしかも汎用的な観測の手段だったのである。
(中略)
 今日、日時計は公園の一隅を飾る一種の石造物でしかない。ホイヘンスの精巧な機械時計の出現とともに時の情報を提供するという役目は終わったのだが、日時計はなお、科学の歴史に関する数々の情報を我々に提供してくれるのである。
荒川 紘 著
「日時計=最古の科学装置」のはしがきより



風と光の広場実験用池の半円型日時計


 飛鳥の水時計
               土木工学科 新井信一 研究室
 「日本書紀」によると斉明6年(660年)5月「皇太子が初めて漏剋(ろこく)を造り、人々に時刻を知らせた」とあります。ここでいう皇太子とは中大兄皇子(なかのおおえのおおじ)すなわち、後の天智天皇のことで、漏剋とは水時計のことであります。昭和5 6年12月、奈良県明日香村にある飛鳥の集落で、中大兄皇子によって創設された水時計の施設の基壇が発掘されました。その時に発掘された銅管.木桶や漆(うるし)塗り木箱の痕跡(こんせき)や、古代の中国にいる漏剋(ろこく)の出土品の類推から作られた「飛鳥の水時計」の模型が、いま国立飛鳥資料館にあります。 
 この水時計は、水のテーマにちなんで飛鳥の水時計の原理を再現しようと試みたものです。

国立飛鳥資料館の水時計復元模型

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