総合研究センター

 「風と光の広場」


太陽光観測システムと太陽光採光システム

太陽放射自動測定システム

                    建築学科 沖 允人 研究室
 国際的な標準などを決めるCIE(国際照明委員会)では、太陽エネルギーを多方面に利用するための国際的な基礎データの不足から、これを作成するため、世界各地の約5 0箇所に昼光測定所を設置し、IDMP(国際昼光測定プログラム)による測定が1991年から開始されている。足利工業大学建築学科建築環境工学研究室でもこれに呼応して測定を行っている。これは国内に設置された5箇所のうちの一つである。
 「太陽放射自動測定システム」は、太陽放射の光(照度)、熱(日射)、紫外放射(紫外線)のセンサーを特別仕様の地上高約10mの観測鉄柱の上に設置し、コンピューター制御によって、毎日、午前3時から午後9時まで、1分間隔で長期間にわたって連続自動測定するシステムである。


・測定項目(10項目):
 照 度:
     グローバル照度
     全天空照度
     直射照度

 日 射:
     グローバル日射
     天空日射
     直達日射

  太陽紫外放射(紫外線):
      UV-A
      UV-B

  天空輝度分布

  天空放射輝度分布
太陽放射自動観測システム通称太陽光観測塔
 
 
 


採光ステム
 現在、世界中で太陽エネルギーの有効利用がC02削減化による地球温暖化防止など、環境問題と併せて注目されている。太陽エネルギーの建築への利用方法は、主に、太陽光発電システム、太陽熱温水器(太陽熱利用給湯システム)、および太陽光採光システムの3つである。
いずれの方法も、無限ともいえる太陽エネルギーを積極的に活用し、省エネルギーと地球環境保全に貢献しようとするシステムである。
 また、近年、都市空間の過密化や建築物の超高層化、地下空間利用の増加に伴い、太陽光を有効に利用する採光システムの開発が、地球環境保全や省エネルギーといった面から高ましつつある。例えば、大規模な高層ビルの場合を想定すると、建物内部では、窓に面した空間はともかく、建物中心部の内部空間は太陽光を取り入れにくい。そして、地下空間は太陽光による自然採光が全く望めない空間である。このことは、一般住宅においても同様である。こういった空間へ、太陽光を取り込む方法として、トップライト(天窓)、ドーマー(屋根窓)、ライトコート(光庭)などがあり、地下室においてはドライエリアの採用という方法がある。このような方法の一つとして、「太陽光採光システム」がある。

・太陽光を楽しむ「タスクライトとアンビエントライト」
 空間の快適な照明には、読書や執筆などをするための「タスクライト」と呼ばれる作業のための照明と、団らんやくつろぎなど、明かりを楽しむための「アンビエントライト」と呼ばれる雰囲気をつくるための照明の両方「タスク アンド アンビエント ライト」が必要である。
 人工光源は明るさを常に一定に確保しやすいことから「タスクライト」に適し、自然光は、天候や時刻によって変化するので屋外の変化を情報としてとらえ、心休まる明るさを得るための「アンビエントライト」の明かりとして大切である。
太陽光採光システムは、この「アンビエントライト」の光源として最適である。しかも、エネルギー源はクリーンで費用のかからない太陽光である。
地球温暖化の抑制、環境の保全がさけばれているとき、限りある資源の有効利用の立場から
も、私たちは、人工光源に頼りきった夜型に偏重する生活から、太陽の恵みを感じながらの昼
型の生活へとライフスタイルを見直すときがきているのかもしれない。


天井を斜めの屋根につけて見る実験


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