第二 木構造及木骨構造 |
第四十八條 |
柱、梁其ノ他之ニ類スル構材ノ繼手及仕口ニシテ主要ナルモノハ「ボールト」締其ノ他適當ナル方法ニ依リ緊著スヘシ
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柱、梁その他これらと同種の構造材の継手または仕口で主要な所はボルト締めその他の適切な方法で緊結すること。
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第四十九條 |
建物ノ主要ナル柱ハ堀立ト爲スヘカラス但シ適當ナル防腐方法ヲ施シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
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建物の主要な柱を堀立としてはならない。ただし、適切な防腐処理を施したものはこの限りではない。
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第五十條 |
掘立ニ非サル柱ノ下部ニハ土臺又ハ脚固ヲ使用スヘシ但シ柱ヲ其ノ基礎ニ緊著シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
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掘立ではない柱の下部には土台または脚固めを使用すること。ただし、柱を基礎に緊結したときはこの限りではない。
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第五十一條 |
石、煉瓦其ノ他ノ腰積ヲ有スル建物ハ之ヲ土臺敷構造ト爲シ土臺ハ腰積ニ緊結スヘシ
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石、レンガその他の腰積みを有する建物は土台敷き構造とし、土台は腰積みに緊結すること。
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石、煉瓦、「コンクリート」ノ類ノ束ヲ以テ前項ノ腰積ニ代フルモノハ其ノ構造ニ付特ニ地方長官ノ許可ヲ受クヘシ
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石、レンガ、コンクリートの類の束を前項の腰積みの代わりとするときは、その構造について特別に地方長官の許可を受けること。
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第五十二條 |
建物ノ土臺及敷桁ノ隅角ニハ燧材ヲ使用スヘシ
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建物の土台および敷桁の隅角には火打材を使用すること。
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第五十三條 |
柱ノ小徑ハ土臺、脚固、胴差、梁、桁其ノ他ノ主要横架材間ノ距離ニ對シ三階建ノ第三階、二階建ノ第二階又ハ平家建ニ在リテハ其ノ三十五分ノ一ヲ、
三階建ノ第二階又ハ二階建ノ第一階ニ在リテハ其ノ三十分ノ一ヲ、三階建ノ第一階ニ在リテハ其ノ二十六分ノ一ヲ下ルヘカラス
但シ庇ノ支柱其ノ他輕微ナル荷重ヲ承クルモノハ此ノ限ニ在ラス
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柱の小径は、土台、脚固、胴差、梁、桁その他の主要横架材間の距離に対して、三階建ての三階、二階建ての二階、平屋建てでは1/35を、
三階建ての二階または二階建ての一階では1/30を、三階建ての一階では1/26を下回ってはならない。
ただし、庇の支柱その他の軽微な荷重を受けるものはこの限りではない。
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木骨石造、木骨煉瓦造及土藏造ニ在リテハ前項ノ適用ニ關シ三十五分ノ一ヲ三十分ノ一、三十分ノ一ヲ二十五分ノ一、二十六分ノ一ヲ二十三分ノ一トス
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木骨石造、木骨レンガ造および土蔵造には前項の適用に関して、1/35を1/30に、1/30を1/25に、1/26を1/23にする。
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第五十四條 |
柱ニシテ其ノ必要ナル斷面積ノ三分ノ一以上ヲ缺取ル場合ニハ其ノ部分ヲ補强スヘシ
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柱で必要な断面積の1/3以上を欠き取る場合には、その部分を補強すること。
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第五十五條 |
三階建木造建物又ハ平家建ニ非サル木骨石造若ハ木骨煉瓦造建物ノ壁體ニハ適當ナル筋違ヲ使用スヘシ
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三階建て木造建物、または平屋建てではない木骨石造もしくは木骨レンガ造建物の壁体には適切な筋交を使用すること。
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第五十六條 |
木骨石造又ハ木骨煉瓦造ニ於ケル貼付ノ石、煉瓦類ノ厚ハ二階以上ニ於テハ之ヲ七寸五分以下ト爲シ適當ナル方法ヲ以テ軸部ニ緊結スヘシ
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木骨石造もしくは木骨レンガ造での貼り付ける石、煉瓦類の厚さは二階以上では七寸五分(約23センチメートル)以下とし、
適切な方法で軸部に緊結すること。
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第五十七條 |
建築物ノ敷地ノ地盤堅牢ナルトキ又ハ規模小ナル建築物ニハ地方長官ノ許可ヲ受ケ第五十條及第五十二條ノ規定ヲ適用セサルコトヲ得
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敷地の地盤が堅牢であるときまたは規模が小さい建築物には、地方長官の許可を受けて第五十条および第五十二条の規定を適用外とすることができる。
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第三 石構造、煉瓦構造及「コンクリート」構造 |
第五十八條 |
石、煉瓦其ノ他之ニ類スル材料ヲ以テ築造スル建築物ノ部分ハ「セメント」入「モルタル」ヲ用ヰテ組積スヘシ
但シ高九尺以下ノ墻壁其ノ他構造ノ輕微ナルモノハ此ノ限ニ在ラス
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石、レンガその他これと同種の材料で築造する部分はセメント入りモルタルを用いて組積すること。
ただし、高さ九尺(約2.7メートル)以下の墻壁(しょうへき)その他の構造が軽微であるものはこの限りではない。
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第五十九條 |
建物ノ壁體石造又ハ煉瓦造ナルトキ下階ノ壁厚ハ其ノ上階ノ壁厚ヨリ小ナルヘカラス
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壁体が石造またはレンガ造であるときの下階の壁厚は、上階の壁厚より小さくしてはならない。
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第六十條 |
石造又ハ煉瓦造壁體ノ壁厚ハ之ヲ一尺未滿ト爲スヘカラス
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石造またはレンガ造の壁体の壁厚は一尺(約30センチメートル)未満としてはならない。
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第六十一條 |
建物ノ壁體石造又ハ煉瓦造ニシテ高十五尺以上ノモノハ其ノ壁長三十六尺ヲ超過スヘカラス
但シ地盤堅牢ナル場合又ハ適當ナル補强方法ヲ施シタルモトハ地方長官ノ許可ヲ受ケ之ヲ四十八尺迄ト爲スコトヲ得
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壁体が石造またはレンガ造であり高さが十五尺(約4.5メートル)以上の建物は、壁長が三十六尺(約11メートル)を超えてはならない。
ただし、地盤が堅牢である場合または適切な補強を施したものは、地方長官の許可を受けて四十八尺(約14.5メートル)までとすることができる。
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壁厚特ニ大ナルモノハ地方長官ノ許可ヲ受ケ前項ノ規定ニ依ラサルコトヲ得
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壁厚が特に大きいものは、地方長官の許可を受けて前項の規定を適用しなくてもよい。
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壁長ハ其ノ壁體ニ接著スル對隣壁ノ接著部分ノ中心距離ヲ以テ之ヲ度ル
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壁長はその壁体に接している対隣壁(両隣の壁)の接着部分の中心距離で測る。
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地方長官適當ト認ムル補强方法ヲ施シタル控壁ハ前項ノ適用ニ關シ之ヲ對隣壁ト看做ス
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前項の適用に関して、地方長官が適切であると認める補強方法を施した控壁を対隣壁とみなす。
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壁高ハ其ノ壁體ノ接著スル地盤面ヨリ之ヲ度ル
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壁高はその壁体が接する地盤面から測る。
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第六十二條 |
建物ノ壁體「コンクリート」造以外ノ石造ニシテ其ノ高十五尺未滿ノモノヽ壁厚ハ其ノ高ノ十二分ノ一未滿ト爲スヘカラス
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壁体がコンクリート造以外の石造でその高さが十五尺(約4.5m)未満のものの壁圧は高さの1/12未満にしてはならない。
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第六十三條 |
建物ノ外壁煉瓦造ニシテ其ノ高十五尺以上長二十四尺以下ノモノヽ壁厚ハ左ノ規定ニ依ルヘシ
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外壁がレンガ造で高さが十五尺(約4.5m)以上、長さが二十四尺(約7.3m)以下のものの壁厚は左の規定によること。
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一 |
高二十五尺以下ノモノニ在リテハ一尺以上ト爲スコト
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高さが二十五尺(約7.6m)以下のものは一尺(約30cm)以上とすること。
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二 |
高二十五尺ヲ超過シ四十尺以下ノモノニ在リテハ第一階ハ一尺四寸以上ト、第二階以上ハ一尺以上ト爲スコト
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高さが二十五尺(約7.6m)を超え四十尺(約12m)以下のものは、一階で一尺四寸(約42cm)以上、二階以上で一尺(約30cm)以上とすること。
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三 |
高四十尺ヲ超過シ五十尺以下ノモノニ在リテハ第一階及第二階ハ一尺四寸以上ト、第三階以上ハ一尺以上ト爲スコト
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高さが四十尺(約12m)を超え五十尺(約15m)以下のものは、一階および二階で一尺四寸(約42cm)以上、三階以上で一尺(約30cm)以上とすること。
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長二十四尺ヲ超過シ三十六尺以下ノモノノ壁厚ハ前項ノ厚ニ三寸ヲ加フヘシ
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長さが二十四尺(約7.3m)を超え三十六尺(約11m)以下のものの壁厚は前項の厚さに三寸(約9cm)を加えること。
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長三十六尺ヲ超過シ四十八尺以下ノモノノ壁厚ハ第一項ノ厚ニ七寸ヲ加フヘシ
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長さが三十六尺(約11m)を超え四十八尺(約14.5m)以下のものの壁厚は前項の厚さに七寸(約21cm)を加えること。
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地階ノ壁厚ハ第一階ノ壁厚ニ三寸以上ヲ加フヘシ
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地階の壁厚は一階の壁厚に三寸(約9cm)以上を加えること。
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第六十四條 |
煉瓦造間壁ノ厚ハ前條規定ノ厚ヨリ三寸ヲ減スルコトヲ得
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レンガ造の間仕切り壁は、前条の規定の厚さから三寸(約9cm)減らすことができる。
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第六十五條 |
建物ノ壁體煉瓦造ナルトキ或ル階ニ於ケル出入口、窓其ノ他ノ開口ノ幅ノ總和カ壁長ノ二分ノ一ヲ超過スルトキハ其ノ壁厚ハ前三條ノ厚ニ三寸ヲ加フヘシ
但シ其ノ壁體ニ幅三尺以上ノ柱形(控壁ヲ含ム以下同シ)ヲ有スル場合ニ於テ其ノ柱形間及之ト對隣壁トノ中心距離十五尺以下ナルトキハ此ノ限ニ在ラス
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壁体がレンガ造であり、ある階の出入口、窓その他の開口幅の総和が壁長の1/2を超えるときは前三条の厚さに三寸(約9cm)を加えること。
ただし、壁体に幅が三尺(約90cm)以上の柱(控壁を含む、以下同じ)がある場合で、柱間および対隣壁との中心距離が十五尺(約4.5m)以下であるときはこの限りではない。
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第六十六條 |
建物ノ壁體煉瓦造ニシテ左記各號ノ一ニ該當スル場合ニハ各階ノ壁厚ハ第六十三條及第六十四條ノ厚ヨリ三寸ヲ減スルコトヲ得
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壁体がレンガ造であり左記各号の一に該当する場合には、各階の壁圧は第六十三条および第六十四条の厚さから三寸(約9cm)を減らすことができる。
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一 |
其ノ階ノ床及其ノ階ノ直上階ノ床又ハ屋根鐵筋「コンクリート」造ナルトキ
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その階の床および直上階の床または屋根が鉄筋コンクリート造であるとき。
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二 |
地方長官適當ト認ムル控壁、鐵骨又ハ鐵筋「コンクリート」ノ臥梁其ノ他ノ補强方法アルトキ
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地方長官が適切である認める控壁、鉄骨または鉄筋コンクリートの臥梁その他の補強がされているとき。
(臥梁とは組積壁の頂部を一体化するための梁のこと)
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第六十七條 |
建物ノ壁體煉瓦造ナルトキ其ノ壁厚ハ第六十三條乃至第六十六條ノ規定ニ拘ラス其ノ階高ノ十五分ノ一未滿ト爲スヘカラス
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壁体がレンガ造であるとき、その壁圧を第六十三条から第六十六条の規定にかかわらず階高の1/15未満としてはならない。
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第六十八條 |
建物ノ壁體煉瓦造ナルトキ其ノ階高ノ四分ノ三以上ノ高ヲ通シテ壁體ニ竪壁溝ヲ設クル場合ニハ其ノ壁溝部ノ壁厚ハ
第六十條、第六十三條乃至第六十七條ノ厚ノ三分ノ二未滿ト爲スヘカラス
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壁体がレンガ造でその階高の3/4以上の高さを通して縦壁溝を設ける場合には、その壁溝部の壁厚を第六十三条から第六十七条の厚さの2/3未満としてはならない。
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横壁溝ハ深三寸長九尺ヲ超過スヘカラス
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横壁溝は深さ三寸(約9cm)長さ九尺(約2.7m)を超えてはならない。
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第六十九條 |
高十五尺以上ノ煉瓦壁體ニ於ケル出入口及窓相互間ノ直上垂直距離及之ト壁頂間ノ垂直距離ハ二尺以上ト爲スヘシ
但シ鐵又ハ鐵筋「コンクリート」ノ臥梁ヲ以テ適當ナル補强ヲ爲ストキハ此ノ限ニ在ラス
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高さ十五尺(約4.5m)以上の煉瓦による壁体での、出入口および窓の相互間の垂直距離およびこれらと壁頂部までの垂直距離は二尺(約60cm)以上とすること。
ただし、鉄または鉄筋コンクリートによる臥梁で適切な補強をしたときはこの限りではない。
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第七十條 |
煉瓦造二重壁ニ於テハ其ノ一方ノ壁ハ第五十九條乃至第六十一條及第六十三條乃至第六十九條ノ規定ニ依ルヘシ
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レンガ造の二重壁では、一方の壁は第五十九条から第六十一条および第六十三条から第六十九条の規定に従うこと。
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第七十一條 |
建物ノ壁體「コンクリート」造ナルトキハ第六十三條乃至第七十條ノ適用ニ關シ之ヲ煉瓦造ト看做ス
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第六十三条から第七十条の適用に関して、壁体がコンクリート造であるときはレンガ造とみなす。
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第七十二條 |
建物ノ壁體「コンクリート」造以外ノ石造ナルトキ其ノ厚ハ第六十三條乃至第六十五條ノ厚ニ其ノ十分ノ二ヲ加フヘシ
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壁体がコンクリート造以外の石造であるときの厚さは、第六十三条から第六十五条の厚さにその2/10を加えること。
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第六十六條乃至第七十條ノ規定ハ之ヲ前項ノ壁體ニ準用ス
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第六十六条から第七十条の規定は前項の壁体に準用する。
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第七十三條 |
貼石、貼瓦ノ類ハ之ヲ壁厚ニ算入セス
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貼石、貼瓦の類(タイル等)は壁厚に算入しない。
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第七十四條 |
鐵骨造又ハ鐵筋「コンクリート」造ニ於ケル石、煉瓦、「コンクリート」等ノ帳壁ニハ第五十九條、第六十條、第六十二條乃至第七十二條ノ規定ヲ適用セス
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鉄骨造または鉄筋コンクリート造での石、レンガ、コンクリート等の帳壁には、第五十九条、第六十条、第六十二条から第七十二条の規定を適用しない。
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第七十五條 |
高十二尺未滿ノ間壁其ノ他構造上輕微ナル壁體ニ對シテハ第六十條乃至第七十二條ノ規定ヲ適用セス
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高さが十二尺(約3.6m)未満の間仕切り壁その他の構造上軽微である壁体に対しては第六十条から第七十二条の規定を適用しない。
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第七十六條 |
石造又ハ煉瓦造ノ墻壁ハ特殊ノ補强方法ヲ施シタル場合ノ外左ノ規定ニ依ルヘシ
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石造またはレンガ造の墻壁は特殊な補強を施した場合を除き、左の規定に従うこと。
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一 |
煉瓦造又ハ「コンクリート」造ニ在リテハ其ノ厚ヲ其ノ部分ヨリ壁頂迄ノ垂直距離ノ十五分ノ一以上ト爲スコト
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煉瓦造またはコンクリート造では、厚さをその部分から壁頂部までの垂直距離の1/15以上とすること。
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二 |
「コンクリート」造以外ノ石造ニ在リテハ其ノ厚ヲ其ノ部分ヨリ壁頂迄ノ垂直距離ノ十二分ノ一以上ト爲スコト
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コンクリート造以外の石造では、厚さをその部分から壁頂部までの垂直距離の1/12以上とすること。
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三 |
長二間未滿毎ニ適當ナル控壁ヲ設クルコト但シ其ノ壁厚前二號ノ規定ノ最小限ノ一倍半以上ナルトキハ此ノ限ニ在ラス
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長さ二間(約3.6m)未満ごとに適切な控壁を設けること。ただし、壁厚が前二号の規定の最小限の一・五倍以上になるときはこの限りではない。
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第七十七條 |
同一建築物ノ壁體二種以上ノ構造ヨリ成ルトキハ其ノ壁長及壁厚ニ付テハ地方長官之ヲ定ム
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一つの建築物の壁体が二種類以上の構造からなるときの壁長および壁厚については地方長官が定める。
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第七十八條 |
切妻壁體ハ之ニ接スル構材ニ緊結スヘシ
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切妻部分の壁体は接している構造材に緊結すること。
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地盤面上五十尺以上ニ在ル切妻壁體ノ部分ニ對シテハ適當ナル補强ヲ爲スヘシ
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地盤面上五十尺(約15m)以上にある切妻部分の壁体に対しては適切な補強をすること。
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第七十九條 |
張間五尺以上ノ開口上ニ架スル石造又ハ煉瓦造ノ迫持ハ其ノ迫高ヲ張間ノ十分ノ一以上ト爲スヘシ
但シ適當ナル補强ヲ爲シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
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幅が五尺(約1.5m)以上の開口部上に架ける石造またはレンガ造の迫持(アーチ)は、そのせり高を幅の1/10以上とすること。
ただし、適切な補強をしたときはこの限りではない。
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第八十條 |
壁體ノ隅角、蛇腹、窓、出入口脇其ノ他之ニ類スル部分ニ使用スル石、人造石ノ類ハ適當ナル方法ヲ以テ之ヲ其ノ接スル壁體ノ部分ニ緊結スヘシ
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壁体の隅角、蛇腹、窓、出入口脇その他これらと同様な部分に使用する石、人工石(ブロック)の類は、適切な方法で接する壁体に緊結すること。
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第八十一條 |
石造又ハ煉瓦造ノ桔出窓、桔出緣等ハ壁面ヨリ三尺以上突出セシムヘカラス
但シ鐵骨又ハ鐵筋「コンクリート」ヲ以テ適當ナル補强ヲ爲シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
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石造またはレンガ造の出窓、桔出縁等は、壁面から三尺(約90cm)以上突出してはならない。
ただし、鉄骨または鉄筋コンクリートによって適切な補強をしたときはこの限りではない。
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第五 鐵筋「コンクリート」構造 |
第八十八條 |
鐵筋「コンクリート」構造ニ使用スル「コンクリート」ハ左ノ規定ニ依ルヘシ
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鉄筋コンクリート構造に使用するコンクリートは左の規定に従うこと。
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一 |
砂ハ泥土、鹽分等ヲ含マサルモノナルコト
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砂は泥土、塩分等を含んでいないものであること。
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二 |
砂利又ハ碎石ハ硬質ニシテ二糎二分ノ一目篩ヲ通過シ且鐵筋相互間及鐵筋ト假構トノ間ヲ自由ニ通過スルモノトナルコト
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砂利または砕石は硬質で2.5cm目のふるいを通過し、かつ鉄筋相互の間および鉄筋と型枠との間を自由に通過するものであること。
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三 |
煉瓦屑、石炭燼ノ類ハ之ヲ使用セサルコト
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レンガの屑、石炭の燃えかすの類は使用しないこと。
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四 |
「コンクリート」ノ調合割合ハ「セメント」ノ容積一ニ對シ砂ト砂利又ハ碎石トノ容積ノ和六ヲ超過セサルコト
但シ「セメント」ハ千四百瓩ヲ以テ一立方米トス
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コンクリートの調合割合は、セメントの容積1に対して砂と砂利または砕石の容積の和が6を超えないこと。
ただし、セメントは 1400kgで1m3とする。
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鐵筋「コンクリート」構造ニ使用スル鐵筋ノ品質ハ第八十二條ノ規定ニ依ルヘシ
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鉄筋コンクリート構造に使用する鉄筋の品質は第八十二条の規定によること。
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第八十九條 |
鐵筋「コンクリート」構造ニ於テハ鐵筋ノ兩端ヲ他ノ構造部ニ緊結スルカ又ハ之ヲ曲ケテ適當ニ「コンクリート」中ニ碇著スヘシ
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鉄筋コンクリート構造では、鉄筋の両端を他の構造部に緊結するか、または端部を曲げて適切にコンクリート中に定着させること。
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第九十條 |
鐵筋「コンクリート」ノ梁、版等ニ生スル應剪力度「コンクリート」ノ許容應剪力度ヲ超過スルトキハ其ノ部分ニ左記ノ定ニ依リ繋筋ヲ配置スヘシ
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鉄筋コンクリートの梁、スラブ等に生じるせん断応力度がコンクリートの許容せん断応力度を超えるときは、
その部分に左記の規定により繋筋(あばら筋)を配置すること。
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一 |
繋筋ハ應剪力ノ分布ニ從ヒ適當ニ之ヲ配置シ其ノ間隔ハ梁、版等ノ厚ノ三分ノ二ヲ超過セサルコト
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繋筋はせん断応力の分布に従い適切に配置し、その間隔は梁、スラブ等の厚さの2/3を超えないこと。
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二 |
繋筋ハ應張鐵筋下端ヨリ應壓力中心迄達スルコト
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繋筋は引張鉄筋下端から圧縮応力の中心まで達すること。
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主筋ヲ適當ニ曲ケタルモノハ其ノ部分ヲ繋筋ト看做ス
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主筋を適切に曲げたものは、その部分を繋筋とみなす。
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第九十一條 |
鐵筋「コンクリート」柱ノ構造ハ左ノ規定ニ依ルヘシ
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鉄筋コンクリート柱の構造は左の規定に従うこと。
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一 |
主筋ハ四本以上タルコト
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主筋は4本以上とすること。
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二 |
繋筋ノ中心距離ハ一尺以下トシ且主筋直徑ノ十五倍ヲ超過セサルコト
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繋筋(帯筋)の中心距離は一尺(約30cm)以下とし、かつ主筋の直径の15倍を超えないこと。
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三 |
柱ノ小徑ハ其ノ主要支點間距離ノ二十分ノ一以上ナルコト
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柱の小径は、主要な支点間距離の1/20以上であること。
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第九十二條 |
鐵筋「コンクリート」構造ニ於テ主筋ニ對スル「コンクリート」ノ被覆厚ハ版ニ在リテハ二糎未滿ト、梁及柱ニ在リテハ三糎未滿ト、基礎ニ在リテハ五糎未滿ト爲スヘカラス
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鉄筋コンクリート構造では、主筋に対するコンクリートの被り厚さは、スラブでは2cm未満、梁および柱では3cm未満、基礎では5cm未満としてはならない。
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第九十三條 |
鐵筋「コンクリート」ノ床、屋根其ノ他ノ横架材ノ上ニ假構ヲ設クルトキハ其ノ假構ヲ除去スルニ先チ其ノ下階ノ主要假構ヲ除去スヘカラス
但シ「コンクリート」施工後二月ヲ經過セルモノニ在リテハ此ノ限ニ在ラス
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鉄筋コンクリートの床、屋根その他の横架材の上に型枠を設けるときは、その型枠を除去するより先にその下階の主要な型枠を除去してはならない。
ただし、コンクリートの施工後2ヶ月が経過したものはこの限りではない。
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第九十四條 |
高十二尺未滿ノ墻壁其ノ他建築上輕微ナルモノニ在リテハ地方長官ノ許可ヲ受ケ第八十八條乃至第九十二條ノ規定ニ依ラサルコトヲ得
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高さが十二尺(約3.6m)未満の墻壁その他の軽微なものには、地方長官の許可を受けて第八十八条から第九十二条の規定を適用しなくてもよい。
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